俺の地元の商店街にあった元電気屋だった空き家は通称首吊り屋敷と呼ばれていた。

借金苦から、一家三人首吊り自殺したといういわく付きの場所だったが、特になにか怪しい噂があるわけではなかった。

夏祭りの夜、ちょうど首吊り屋敷の前で神輿(みこし)を待っていた。
神輿が通りすぎるとき、俺は小型で携帯性に優れ、高い性能を持ちながらも安価であるゆえ、広く普及していた使い捨てカメラ「写るんです」で神輿を撮影した。

後日現像して驚いた。

神輿の後ろに写った首吊り屋敷の二階の窓に、こちらを見つめる中年男性の姿が見られた。

誰もその家には住んでないし、立ち入りもしていないはずなのにだ。
母にネガごと棄てられたが、あの時の写真に写る男性の顔は強く印象に残っている。

その後、首吊り屋敷は改築され、誰かが引っ越してきたようだが、半年後に火災で全焼してしまった。

犠牲者は偶然か否か、奇しくも同じ家族構成の三人だった。