うちの爺ちゃんの話なんだけど、してもいいかな?

うちの父方の爺ちゃんのなんだが、私が小5のときに死んだんだ。
私たちは父の転勤で北海道にいたんだが、爺ちゃんがどうしても遊びに来いって言ってるとかで、爺ちゃんのいる大阪に行ったんだ。

爺ちゃんはそのときまだ普通にピンピンしてたんだけどね。
それで遊びに行ったんだけど、たくさん会ってたわけじゃないけど、行けば可愛がってくれてたことは覚えてる。
で、そのときに部屋で爺ちゃんと2人になったときがあったんだ。

爺ちゃんは私に・・・。

「◯◯、爺ちゃんはな、たぶん来年死ぬんや。
今はピンピンしとるから何言ってるんやと思うかもしれんが、癌で死ぬんや。
今から色々やってももう間に合わんからもうええんやけど。
そんでな、爺ちゃん小さいとき、未来が見えたんや。それが未来のことやって気づいたんが、お前よりはもう少し幼かったけどな。
で、そうとわかってからはみんなに色々助言したんや、死んだり怪我したりせんようにな。
せやけど、急に俺の言ったことが外れるようになってきたんや。
みんな俺のこと嘘つきで、前はたまたまやったんやって言うようになってな。
俺はすごく悔しかったし、嫌やったけど、俺のお母ちゃんが、お前は嘘つきやない、みんなのことほんまに助けてたんやで、母ちゃんはわかっとるからな言うてくれたんや。
その母ちゃんがそのあとすぐ死んでもうたんやが、そのあと俺の夢に現れてな。
その日からや、俺が未来のこと見えなくなったんわ。
次第に俺もそんなことがあったこと忘れてたんやがな、この前からまた何回か見えたんや・・・この歳になってな。
感覚として残ってたんやろな、その時のことをすぐに思い出したんや。
なんで爺ちゃんがこんな話してるかっていうとやな、俺が来年のいつに死ぬってことと、お前が死ぬってことが見えてしもたんや。
◯◯、よく聞いてくれや。
◯◯(日付)の◯時◯分、お前は巻き込まれる、海外やで。
せやからその海外の旅行には絶対行ったらあかん。
そんときお前は◯◯歳やな、友達と一緒に行く話になるはずやから、絶対みんな行ったらあかんで。
今日来てほしかったのはこの話したかったんや。
お前たちは爺ちゃんより長く生きて欲しいんや・・・」

かなり前の記憶だけど、内容は大体おぼえてるから多少言葉の感じとか脚色してる部分は出てくるけど、内容はこの感じ。
そんで爺ちゃんは日付を書いた紙を私に渡してきた。

私は正直、よくわからなくて、なんか爺ちゃんが怖くなったような気がして、とりあえずウンウンと頷いてた。

ボケたのかな?とも思ったけど、その話以外は普通、というかしっかりした爺ちゃんだった。

それで、その翌年、爺ちゃんは本当に死んだ。
すい臓癌だったみたいで、すぐに弱っていって死んでしまった。
その間にも何回か会ったんだけど、爺ちゃんはみるみる弱っていってたのを覚えてる。

そのことをしばらくして忘れてたんだけど、私が高校卒業して、夢があったからフリーターをしてたときに、友達と海外へ旅行に行こうという話になったんだ。

私は海外行ったことなかったからみんなで楽しく計画して日付も決めたんだけど、ふっと急に爺ちゃんのことを思い出したんだ。
日付の紙はどこかへいっちゃって判らなかったんだけど、その決めた日付を文字で見たときにすごい既視感というか違和感みたいなのがあって、あのときに爺ちゃんにもらった紙に書いてあった日付で間違いないって思った。
偶然とは思えなかったから、私はまさかそんなことって思いながらも、現実問題、日付はこの日付だった気がするから、旅行は別の日にしようと言った。
友達はすでに予定を空けた子もいたからブーたれていたが渋々了承してくれた。

そして、その日付の日、私たちが行くはずだった場所でテロが起きた。
その場所にいたかどうかはわからないけど、いた可能性は高いと思う、巻き込まれていても不思議じゃなかった。
本当にびっくりした、本当にこんなことがあるのんてと思った。
友人もめちゃくちゃ驚いて電話がきた。

巻き込まれた人には悪いと思ったし、爺ちゃんはなんで行くなとしか言わなかったんだろうとは思ったが、仮にテロが起きるから行くなと言われても、私みたいな一般人がここでテロおきます!と言っても無駄だろうし、起きなかったら犯罪者になっちゃうかもしれないからかなと思った。

それから私は普通に結婚して今は子どもも2人いるのだが、なんでこの話を今になってというのが、この前、弟がこんな話をしてきた。
実家に遊びに行ってたときに弟もいたんだが、テレビで西日本の被害を見てて、未来のことわかれば避けられるのになあなんてことを私が言ったら弟が・・・。

「昔さー、なんか未来っぽいの見えたんだよね。なんかわかっちゃうっていうか、あっ、この人あそこで怪我するとか、そういうの。でも小学生のときに爺ちゃん死んだでしょ?なんか爺ちゃんが死んでからいつくらいか忘れたけど、夢に爺ちゃんでてきて、ごめんなーとか謝っててさ。それからそういうの見えなくなったんだよねー。まあ、信じなくていいけど」

笑いながらそう話してきたんだよ。
そこで私も実はって爺ちゃんとの話したら、さすがに弟も「これって・・・」と顔を強張らせた。
ちなみに私はそういうのは全く見たことなく、たまにすごくリアルな地震の夢とか見ることはあるけど、そのあとに地震は起きたことはない・・・。

爺ちゃん、この場を借りてありがとう!