眠れないので吐き出す。
数年前のことだけど、今でも時々思い出して微妙な気持ちになる話。

Aさんという人がいて、仕事中に職場で突然倒れた。
心不全だった。
救急車を呼んだけど病院に着いたときには手遅れだったそうだ。

Aさんは単身赴任だったが、ずいぶん長くその場所に住んでいたので、亡骸は遠方に住む家族の元へ運ぶのではなく、家族に来てもらってお通夜と告別式を行った。(お骨は家族の元に埋葬された)

それから1年ほど経って、Aさんが倒れた職場では、Aさんにとてもよく面倒を見てもらっていたBさんという人が、仕事を辞めて家族ともども別の土地で頑張ることになり、
ささやかな送別会が行われた。

といってもお店を借りるのではなく、Aさんが倒れた職場内で・・・。
終業後に長机を並べお酒をつまみを持ち込む形式。
私はBさんに公私ともにとてもお世話になっていたので二つ返事で参加した。

Bさんの送別会には過去に一緒に働いていた人や取引先の人もたくさん来ていた。
その中の一人、Cさんに私は急に話しかけられた。(Cさんとは、面識がある程度の間柄)

「あのね、ココに来た時からずっといやな気配がしててね・・・いるの。Aさんが。未練がましい人だわ」と、Cさんは嫌悪の表情すら浮かべていた。

実はAさんはちょっと癖のある人で、Bさんのように、親兄弟のごとく慕う人がいる一方で、そりの合わない人からはとことん嫌われていた。
Cさんは後者のようだった。

しかし私は霊感0。
生まれてから一度も見えたことはない。(姉はお盆の墓参りの際には、死者と生者の区別がつかなくなる程度の霊感もちなので霊感そのものを信じていないわけではない)

そしてAさんが亡くなって1年経つが、誰もここで「Aさんを見た」とか言い出す人もいなかったので、まさかそんな話が出てくると思わなくて「そうなんですか?」と、相づちとも質問ともいえない返事をするのが精一杯だった。

するとCさんは「そうなのよ。亡くなってからずっとここにいるみたい。『自分がいないとこの職場は回らない』って、未だに思ってるのよ」とまた、冷ややかな口調で言った。

その頃、飲み会の中心では旅立つBさんが、Aさんの遺志を継いだ仕事がうまくいったことを語りながら「Aさんにも見てほしかった・・・」と感極まって涙を流していた。

また顔をしかめるCさん。

「今Aさん、Bさんの肩抱いて一緒に泣いてるのよ。Bさんは気づいてないみたいね。死んでまでナルシストって最悪ー。早く成仏すれば良いのに」と吐き捨てた。

Cさんはその後「飲み過ぎて気分が悪いからお先に」とBさんに声をかけて、早々と立ち去っていった。

私はBさんにCさんが言っていたことを話すべきかどうか悩んだが、確たる証拠もないので、黙っておくことにした。

それ以来、Cさんとは会っていない。
震災を機に、故郷に帰ったという話を聞いたくらい。
私もBさんが離れたことで、その職場とは疎遠になった。
Bさんは新天地で活躍していると聞く。

まだAさんはあそこに留まっているのだろうか。
行ったところで見えないけど・・・。

Aさんがそりの合わないCさんじゃなくて、Bさんに見えていれば、ちょっと良い話だったのになーと思って、一人でずっともやもやしている。