14~15才の頃の話。

私の故郷はその昔小さな城下町だった町。
いつも一緒の6人と、その日も私の家で遊んでいた。
時は午前2時。
その中でも仲のよいYは「やっぱり帰る」と言い出した。
仕方がないので6人が、ずらずらと自転車で送ってやることになった。

途中にアーケードの商店街。
そこを抜けて、すっと暗くなった頃から、Yの自転車のスピードがおかしくなってきた。

私達5人を置いて、先へ先へと行っている気がした。

「おい、Y」

「おい。Y」

「おい、Y」

何度呼んでも振り向かず、とうとうそのまま家に着いた。
Yは振り向きもせず、玄関を閉めた。

怒った私は次の日、Yを問いただした。

すると、「最初に名前を呼ばれた時、振り向いたら、荷台に知らない女が乗っていたから振り向けなかった」と。