この間、数年ぶりに地元に帰った。

俺の地元は洒落にならんくらい糞田舎。
ちっさい地域をいまだに◯班で区切ってて、年寄はそれを部落って呼んでる。

部落という言葉に悪意とかはなく、昔から使っててそれを今も使ってる感じ。
んで、帰っても暇だったからじじばばに交じって恒例ご近所井戸端会議をしてたんだ。

~部落のもんは若いもん来てから畑もせんで毎日遊んどる、とか、あいつもとうとう施設に送られた、とかどうでもいい世間話をしてた。

そんな話を延々とされていい加減飽きてきて、ふと思い出した近所の後輩の話を聞くことにした。

幼い当時はその話をするとじじばばだけじゃなく、親も不機嫌になって口を閉ざしていた。
が、俺はもはや大人、じじばばは耄碌している。
社会人なら失敗を恐れるな、トライトライトライ!だ。

「ねえ、ばば◯班の病院の子って今こっちゃいるが?」

瞬間、家のばば様顔真っ青にして黙りこくってしまった。

「病院の子」とは俺が小学校中学年の頃越してきた開業医一家の兄弟のこと。
そこの一家は核家族で夫婦と二人の子供(兄と妹)で暮らしていた。

その一家は子供もびびるくらい美男美女だった。
当時その部落の班長だった俺は兄弟の面倒をみてた。

同級生は皆羨んでて、小坊ながら超優越感に浸ってたのを覚えてる。

でも親とか祖父母は俺が面倒みてた(っても登下校一緒にしてただけ)のをよく思ってなかった。
直接口にはしないけどそれはなんか感覚的に分かってた。

ほかの子もいいなーって感じだけどあんまり兄妹に近寄らなった。
それに腕がいいと噂されながら、学区の人たちはその家族の病院には行かず、わざわざ隣市の病院に行ってた。
めっちゃ近所の俺でさえそうだった。

みんなの言動が不思議でなんであの病院行かないのか、おそるおそる親に聞いたこともあった。
でも、気にするなって一喝されて終わった。

あと、他人の面倒みる暇あったら自分の勉強しろってなぜか怒られた。

そんな後輩の話を聞いてみたんだ。
ばばはゆっくり答えてくれた。

「今はおらんよ。◎◎さんとこおる」

◎◎さんとはこれまた近所の有名な精神病者隔離施設。
田舎だからか、こんな大きな隔離施設があるんだ。

表向きにはちゃんと病院の名前語ってるけど・・・オカ板だし知ってる人は知ってるかも。

は?って思ったけど「そうなんだ、でさあの一家をなんで避けてるの?」みたいなこと聞いてみた。

根本的な疑問はそこだし。

そしたら、「(俺)も大人だから言うがな、あの一家は悪い神さん持っとるだ、それをよそさんに勧めるのはよくない、分かるろ?」ってさ。

そんでばばの話はおしまい。
なんか怖がってるみたいだし、これ以上は聞けない。
俺、おばあちゃん大好きだしさ。

まあ暇だし、そのあとは名探偵ごっこすることにした。
順番違うけど回覧板まわすついでにその問題の開業医一家を訪ねた。

病院はまだやってた。

昔の新築の記憶が鮮明すぎて、現在の佇まいには絶句せざるを得なかった
チャイム押したら白髪の老婆がでてきた。
なんか小汚いけど雇ってる看護婦さんかな?って思った。

「Aちゃん(妹)いますか?◯班の(俺)ですけど」って妹お願いした。

言い忘れたけど隔離施設は兄の方が入っているらしい(ばば談)。
したら、その汚いばあさんがさ「俺君?大きくなって!うちの子面倒みてくれてた俺君よね?」などなどいうんだ。
そのばあさん綺麗だったあの家族のお母さんだったんだよ。

なんか気分悪くなって帰りたくなったけど、ばあさんもとい兄弟母が妹呼びに行ってしまったから我慢した。

妹はすぐ出てきた。
びくってたけど彼女は以前と変わっていなかった。
というか熟した美女そのものになってた。

「俺君!久しぶり!」ってすっごいアイドルスマイルで登場してくれた。
女の会話は面倒だから端折るけど、「B君(兄)いないが?」って聞いたら今までの天使笑顔崩壊させて「あの女がわるいの、あの女が・・・」ってメンヘラモードに突入した。

妹やばい。

兄のBは人を監禁して警察注意→精神病ってことでって教祖様の口添えで入院。
Bはしばらく家を出て一人暮らししてたみたい。

女と同棲してたけど女か兄か分からないけど頭おかしくてさ。
とうとう兄が女のこと監禁拷問状態にした。

女は髪長くて、玄関のドアに髪挟められて、手足をコロコロの衣類掛けるやつに縛られて、空中分解八つ裂き状態。
叫ぼうなら口に突っ込まれた蝋燭が容赦なく顔中、眼中に入って気が狂うほどの熱さと苦痛。

外からはわかめぶらさがってますよ的なお笑いだけどまじ部屋の中やばい、死んじゃう。
つか、その女は発狂したのか一周まわって冷静になったのか知らないけど、兄の眼盗んで住んでた部屋の玄関からダイブして亡くなりました。

話はこれで終わりだが、やっぱりあの一家は悪い神さん持ってるんだね。