去年の話。

俺は小さい頃から、っていうか生まれつき幽霊らしきものが見えてた。
らしきって言うのは、あまりにはっきり見えすぎて目立った外傷がない幽霊なら生きてる人と同じくらいはっきり見えてて判別がつかないから。

そのこと自体は小学校入る前にはなんとなく理解してて、周りの大人にも話さなかったから気味悪がられることとかはなかった。
でもまだ認識が甘かった。

去年、祖父が死んだと母に連絡が入り、急いで祖父の元へ向かうことになった。
祖父の住む村はかなりの田舎で、山に囲まれている。
母は久しぶりの故郷の村に懐かしそうな目で見てた。
俺も祖父の家が大好きだった。

とりあえずその日は祖父の家に泊まり、翌日から親戚が集まって明後日葬式が始まるということになった。

忘れてた、付け足し。
祖父の先祖は村を起こした立役者の一人で、今でもかなりの地位があった・・・らしい。
よくは知らん。
親戚、従兄弟もかなりいて、身内だけでも100人は超える。

そして翌日、段々と親戚達が集まりだして、祖父の馬鹿みたいに広い家をいろんな人が行ったり来たりしてた。

そんななか俺みたいな高校生以下のキッズ達はこれまた広い庭で遊ぶ組と12畳ある応接間でゲーム組に別れて葬式の準備する親達の邪魔をしないようにしてた。
ちなみに俺はゲーム組。

しばらくして、俺がプレステのVitaをしてたら、突然全身を凍りつくような悪寒がして飛び起きた。
と、同時に何人かの親戚従兄弟の子供達もその何かに反応した様子で飛び起きた。

もちろん反応してなくて俺たちの奇行に驚いてるやつらもいた。
するとすぐに庭からキッズの鳴き声が響いてきて、俺はゲーム組の反応したやつらと庭に向かった。

ゲーム組は比較的キッズの中でも年齢が高かったからか泣き出すやつはいなかったけど、半泣きになってるやつはいた。

庭組は年齢が低い、主に小学生が多くて、その子守りをしてた親戚従兄弟の姉ちゃん達は突然泣き出した子供達にあたふたしてた。

とりあえず反応したキッズ達を全員庭に集合させた。
するとしばらくして「すみません」とやけに低いねっとりとしたような声が聞こえた。

その声は大きな声で誰か呼んだような感じじゃなくて、耳元で呟いたような感じ、でも周りにはキッズ以外誰も居らず、なんとなく直感的に玄関の方だと感じた俺は走り出した。

すぐに後ろからキッズの鳴き声やらいろいろ聞こえた気がしたけど、なんかもう衝動的で、この辺も曖昧なんだけどとにかく玄関に走った。

息も切れ切れに玄関に向かうと、シルクハット?って言うのかな?
なんかルパンの次元大介が被ってるような感じの帽子に真っ黒のスーツと杖を持った人が立ってた。
見た目は普通っぽかったと思う。
でも何故か顔だけは思い出せない。

何秒か経つと、立ち尽くしてる俺にさっきみたいな声で「定一(祖父の名前)さん・・・いるかな?」と訊いてきた。

俺は震えながら「葬式は明日です」的なことを言った。
すると「じゃあ、明日来ます」って言ってその人は帰って行った。

その人の姿が見えなくなると急に力が抜けて、その場に座り込んだ。
というか腰が抜けて立てなかった。

そのあとすぐにさっき反応したキッズ達が来て、騒いでたけど、あまりの安心感で何も聞いてなかった。
晩飯のときとかキッズ達に英雄扱いされてたのは覚えてる。

そして問題の葬式当日。
なんかこの辺は特に曖昧で覚えてないんだけど、坊さんのお経も終わって、皆が席を立って行く中、白装束で眠る祖父の枕元に昨日のあの人が立ってた。
でも何故かその時は恐怖心は感じなかった。

向こうがこちらを見て、小さく頭を下げたような感じがして、俺も小さく下げ返した。

そのあとは覚えてなくて、気がつくと布団の中で朝に翌日になってた。
ちなみにあとからキッズに聞いて回ったんだけど、あの時、あの人を見たキッズはいないそうで、見たのは俺だけだった。

以上です、長文失礼しました。