鏡の中には等身大の物から、手鏡のものまであったそうです。

ある日、鏡を見て不気味に思った孫娘さんが鏡を壊してしまったらしいです。

その日からです。
孫娘さんが鏡を見て虚ろな目をしています。

母親が、「どうしたの?」と聞くと返事はありません。

母親が鏡を見てみると、鏡に見事なヒビが入っていたそうです。

鏡は手鏡であり、孫娘の顔を見た母親は祖父を呼びにいきました。

祖父にはその筋で有名な知人がおり、ヒビの入った鏡と孫娘を連れてその人の元へ行きました。

こう言われたのです。

「鏡は冥界をつないでいる。しかし、鏡はその繋がりを塞いでくれているんだ。割ったらどうなるか・・・」

その時、鏡から何かが出てきました。

これは・・・?

なんとそれは孫娘と同じ女の子・・・が出てきているのです。

もう一人の自分・・・。

しかし、孫娘にはそれが見えていない様でした。

その時その女の子が「鏡・・・直して・・・」と言ってきたのです。

祖父は全てを察しました。

壊れた鏡を直すことは出来ない。

でも、せめて繋がりを無くすことが彼女への償いだ、と感じたのです。

翌日、鏡はお寺で完全にバラバラにしました。

その代わりに手鏡をもう一度購入し、丁寧に包んで保管。

孫娘のために。
魔除けでもあり、冥界の門を繋ぐ鏡。

不思議な物ですね。