小さい頃なんだけど、うちには仏壇があってお盆になると、仏壇のことに関して色々やらなきゃいけないことが多い。
いやおうなしに手伝わなくちゃいけなくて、罰当たりかもしれないけど、正直それが鬱陶しくて嫌だったんだよね。

で、割と近くに海があったんだけど、盆の時には絶対海に行くなって母親とばあちゃんに口すっぱく言われてたんだよ。
でもどうしても家の手伝いをしたくなくて、遊びに行くとところも無いから海に行ったんだよな。

道路があって、下り坂になってる砂利(砂浜じゃない)部分があって、ごつごつした磯があって海、って感じだったんだけど、なんとなく海に入らずに道路のほうに立ってて、自分の中で「海」とみなされる砂利のところにすら入ってなかったんだよ。

時間は夕暮れだったんだけど、いつもと違う、距離感がいまいちわからないけど、水平線のちょっと上あたりに四角いドアみたいなのがあるんだよ。
空間だけが四角に切り取られてるっていうか・・・。

よく思い出せないんだが、海の色と空の色とは全く違う色で視力良かったから、何だこれ?ってずっとドア見てたらさ、そのドアが開いて、中から尾の長い玉(いったんもめんみたいなの)がドアの中から出てきてそれも尋常じゃない数が出てきた。
空中を方々に散っていくんだよ・・・。

その色なんだけどさ、金色だったか銀色だったか、輝いててかなり綺麗だった。

流れ星みたいだなぁって夢中になってそのドアから玉が出てくるところを見てた。

何回かドアの中を見てみようと思って一生懸命目を凝らしたんだけど、金色でまぶしすぎて中までは見れなかった。

ドアから出てた金色のやつは空を飛べたり色が輝いてたんだけど、それとは違うものもいたんだよね。

砂浜とか磯あたりに人みたいな形をしたどす黒い塊が何体かウロウロしててさ、何かを探してるみたいだった。

で、そいつらはどうやら飛べないらしくて、うずくまってたり、四つん這いになってたり、中には手(らしきもの)を伸ばして何かを掴もうとしてた。

少なくとも金色のドアには入れないみたいだった。

んで、開いていたドアがどんどん小さくなっていくんだよな。
それに比例して辺りがどんどん暗くなってきて(同時に太陽が沈んだのかもしれないけど)、その黒いのがどんどんはっきり見えてくるんだよ。

伸ばす手もずっと長くなってて、一生懸命何かを自分のほうに引き込もうとしてた。

金色のいったんもめんみたいなやつが減って、ドアも大体閉まりかけた頃に黒い塊みたいなのがどんどん増えていって、大きくなってんの。

人型だと思ってたけど獣に近かった。
それが砂浜ウロウロしてた。

なんとなく子供心ながらにこれ以上ここにいたらやばいって思って走って帰った。
盆に海に行ったことがばれたら怒られるし、で報告できず。

お盆てたぶん、本当に先祖が家に帰ってきてるんだと思う。
あの黒い獣みたいなのが何なのか解らないけど、それ以来、お盆には水辺に近づかないようにしてる。