友達が見つかって四十九日が過ぎた。

4月の中旬ごろに高校の時の男友達から電話が来て二人で飲むことになったんです。

高校の時はそれなりに仲が良かったのですが、大学に進学してからは会うこともなくなり、話すのは2年ぶりでした。

彼はとても興奮していて、近況報告もそこそこに「すごいものを見つけた」と言って一枚の写真を見せてきました。

その写真は傾斜の急な竹藪の中で撮ったもので、右上に小さく石の鳥居が写っていて、写真下の中央から右上の鳥居につながる枯れ沢(?)がつながっていたので、その沢をのぼっている途中に撮った写真のようでした。

彼によると鳥居の横の竹藪にクシャタガーブ(?)という神様が写っているそうです。
いわゆる心霊写真のようなオーブや影みたいなものは全く写っていませんでした。

私は変な宗教か何かの勧誘だろうと思い、そういう話には興味がないと言って帰ってしまいました。

その一か月ちょっと後、彼が件の竹藪で死体になって見つかりました。

彼は死ぬ前に「クシャタ様が見えるやつはいないのか」と知り合いに聞きまわっていたそうです。

クシャタ様というのはその土地の守護神のようなものらしく、怒りをかうと地震を起こすのだそうです。
そして彼は遺書のようなものは残していませんでしたが、怒りを鎮めるために生贄が必要だということを家族に話していたそうです。

彼の部屋は綺麗に掃除されていたそうです。
私は幽霊や神様というものがいるかどうかなんてわかりませんし、彼が邪神に取り憑かれたなどという噂はもちろん信じていません。

しかし、私が彼の話を聞かなかったあの日から1ヶ月、彼が何を思いどうして自死を選んだのかもとても理解できそうにありません。

あまり怖くはないですが、あの時彼の話をよく聞かなかったことをとても後悔していますし、ぞっとした話です。