もう時効だと思って書く。

まだ小さい頃、母がパートから帰ってくるのを待ちながら家の前の道路で一人遊びしていた。
近所の人懐っこいおじさんに「お母さんの職場を見に行こう」と言われて、いつの間にか近所の山に連れて行かれてた。

途中で怖くなって逃げて藪に隠れたらおじさんも見つけられなかったみたいで諦めてどこかに行ってしまった。
幼いながらも今出て行ったら危険!と直感してずっと藪の中に隠れてた。

そのまま眠ってしまって、気づいたら真っ暗な中で自分の名を叫ぶ複数の男性の声が聞こえた。
おじさんのおばけが出た!と怯えて息を殺して隠れ続けた。

明るくなってから空腹と尿意に耐えかねて藪から出た。
近くに人の気配があったので見つからないようにこっそり移動し、山の途中に公園を見つけて公衆トイレで用を足して水を飲んだ。
初めて一人でトイレできた!と誇らしかった。

その日もおじさんに見つかっちゃいけないと思って、一日中公園のそばにの茂みに隠れ続けてたけど、どうしてもおなかが空いてしまってこのまま死んじゃうんだろうかと泣いてしまった。

その声を聞きつけた親戚のおばちゃんが「◯ちゃん!」と呼んでくれてたまらずに茂みから出た。

おばちゃんと一緒に知らない人が何人もいて、皆に頭をなでられて病院に連れて行かれた。
そこで両親と対面してめっちゃ泣いた。

病院に警察がきて、どうしてあそこにいたのかを聞かれたけど、この人に話したらおじさんに知られてしまうんじゃないかと怖くて何もしゃべれなかった。

警察が配慮してくれたのか、母親と2人きりにしてくれてそこで初めて説明できた。

未就学児の説明だから要領を得なかっただろうけど、母親はしっかり理解してくれた。

それからしばらくして保育園に通うようになった。
それまでは母親がパートで帰ってくるまで家で祖母と一緒にて、後日聞いたところによると、その頃から祖母の痴呆が始まっていたらしくて、今回の件で色々状況がおかしいってことで調べた。

すると痴呆の診断が下され、保育に欠ける状態だって認められたから通園できるようになったらしい。

母曰く、しばらくは「おじちゃん来ない?」と不安がって通園しぶりみたいな状態だった。

もっと後になってから知ったんだけど、あのおじさんはヤバいところからの借金で自殺したらしい。

警察が誘拐事件の重要参考人として事情を聞きに家に行ったら首吊ってたって。

どうして私に声をかけたんだろうと今でも不思議に思うけど、単に道連れがほしかったのか。
もしくは死ぬ前にロ×コ×の本懐を遂げたいと思ったのかw

なんで今になって書こうかと思ったかというと、夏の怖い話スレみたいなまとめを見てたら、未解決・行方不明事件みたいなところに、明らかに自分の件が書かれてたのを見つけたからw

そこに書いてあったのは私が行方不明になったところまでで、しかもちょっと脚色されてた。

預かっていた祖母の目の前で忽然と消えた~って書いてあって、確かに祖母は縁側からぼんやり私を見てたけど、痴呆が入ってたからおじさんに連れて行かれるのを黙ってみてただけ。
おじさんが死んだことも書いてあるのに、どうして私が見つかったことは書いてないんだろうってちょっと不思議に思った。